相談室

ステージの幕が上がる。客席より拍手。


清潔な部屋。
白衣姿の女性がデスクに何かを書き付けている。


白衣「次の方どうぞ」


舞台下手より女性登場。
おずおずとした態度。


女「失礼します…」
白衣「どうぞ、かけて下さい。あぁ、鞄はそこのカゴヘ」
女「え、はい」(鞄をカゴヘ)


白衣「それで、どういった症状なんですか」
女「熱が…数日前から出て」
(白衣うなずく。)
女「でも会社は休めなくて…土日も」
白衣「そうですか。それは大変でしょう」
女「えぇ…でもしょうがなくて、仕事ですから」
白衣「で、会社から帰ってからはどのようにして過ごされたんですか?」
女「あ、いや、あの、安静にしてましたよ?」
白衣「嘘でしょう」


SE雷音、照明明滅。


女「ど、どうしてそんな事を」(後ずさりする)
白衣(女に迫る、そして指差しながら)
  「私、知ってますよ。あなた、仕事終わってから[熱さまシート]も貼らずに一心不乱に『風来のシレン*1やってたでしょう!」
女「いやぁ、意外としんどい時の方がさくさく進むもんで。おかげで自己新記録伸ばせました…ハッ!」
白衣「へぇ…自己新出すくらい夢中になってたんですね」
女「いえ、えっと2日前に買って来たら面白くてついつい…」
白衣「それで知恵熱出して余計体温上がったんでしょう!」
女「ぎく」
白衣(問いつめるように)「で、シレンの合間には何をしてましたか」
女「久しぶりに『パネルでポン*2を…数年ぶりだったし、ノーマルモードでぎりぎりノーコンクリアが精一杯でー。連鎖も3連鎖くらいしかできなくなってていやーウデ落ちたなぁなんて…ハッ!」
白衣「もうあなた隠す気無いでしょう」
女「ホントすいませんすいませんすいません」
白衣「自業自得です!」
女「失礼しましたっ帰ります!」


女、カゴに入れた鞄を取って下手へ走る。(そのまま一旦退場)途中、CDアルバムがカバンから落ちる。


白衣「何か落ちましたよ!…あぁこれはゆずのCD」


女、駆け戻る。下手より登場。


女「すいません、ありがとうございます。これ、NHKアテネオリンピックイメージソングが入ってて、すごく好きで、前から欲しくて、昨日やっと手に入れたんです」
白衣「そうなんですか…なかなか手に入らなかったんですか」
女「いえ、パチンコで勝ったら換えようと思ってて、昨日ついにCR「ミンキーモモ」で勝ったんです!キャプテンモモリーチ。モモはかぁいいし、ゆずのCDは手に入るし、もぉ最高!」
白衣「…身体治す気無いでしょう」
女「ハッ。…すいません」


幕下りる。
客席より盛大なるブーイング。



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*1:

不思議のダンジョン2 風来のシレン

不思議のダンジョン2 風来のシレン

*2:

パネルでポン

パネルでポン